【実録】義実家の片づけ①
2020年・2021年の記録
■ あらすじ
■ 記録者
■ 登場人物
■ 片づけのきっかけ
■ 片づけの過程
■ ブログ記事 (部屋別 / 時系列順)
あらすじ
かろうじて座布団程度の広さだけ空いている床の上で、布団も敷けず、手足を縮めて眠るしかない。
そんな生活が“当たり前”になって久しく、数年前には下肢静脈瘤を患い、体の不調を抱える不安・不便さを知ってもなお、暮らしを整える必要性に気が付くことができなくなっていました。
この写真を見て、80歳にして身長160cm超という大柄な高齢女性がこの部屋を寝室として使っている姿が想像できますか?
そして、このような状況に家全体が陥っていて、どこにも逃げ場が無いということも…。
若くして夫を病で亡くし、女手一つで二人の息子を育て上げた義母は、80歳には見えないほど心身共にパワフルで衰え知らず。
そんな義母が暮らす夫の実家の中に、私は結婚10年目を過ぎるまでほとんど足を踏み入れたことがありませんでした。
用事があっても玄関先で対応されるばかり。とはいえ、性格的な不一致もあり積極的に関わることがなかったので、特に不思議に思わなかったのです。
そんな義母と夫の実家ですが、とある問題を解決する鍵が『片づけ』だったこともあり、私は片づけのプロとして自ら名乗りを上げました。
子育てを終え、自由気ままに生きてきた義母の家は床が見えないほどのモノで埋もれ、いつ、事故や怪我・病気をしても全くおかしくない状況。問題を先送りにする猶予はありません。
意欲に燃えて片づけをスタートさせたものの、自分の家・自分の暮らしであるというのに義母の言動からは当事者意識があまり感じられず、自宅での私と夫の会話の話題は“実家の片づけをどうするか”ばかりになりました。
片づけのプロの私が一人で片づけても、それでは本当に義母のためにはならない。
様々な提案と作業を繰り返すうちに、義母は少しずつ片づけに慣れていってくれました。
そして、片づけを通して“建前”ではなく“本音”を話してもらえるようになり、以前とは比較にならないほどコミュニケーションがスムーズになりました。
価値観が異なれば衝突することも当然あります。二度手間や遠回りすることもあります。
それでも本気で取り組み続けた結果、『やって良かった』『次は〇〇を片づけたい』と義母から言ってもらえるようになり、今後も義母のペースに合わせて片づけは続いていく予定です。
( ↑ 着手しやすかった部屋を片づけ、布団を敷けるようにしました!)
難問ばかりの片づけに苦渋しましたが、劇的なビフォー&アフターにはならなくても、義母本人が“それで良い”と思える形に収めるだけでも十分喜んでもらえるのだと、私自身も救われる思いになれました。
・誰のための片づけなのか
・どうしても譲れない想い、願いをきちんと伝えること
片づけを必要としている当事者とサポートする側の双方にとって大切なことだと思います。
自分自身が実際に経験する機会に恵まれたこともあり、シニアの方の片づけサポートや親の家の片づけにお悩みの方のサポートをしたいという想いが強くなると共に、地域福祉にも関心を持ち始めました。
記録者
小宮久美子
防災士
整理収納アドバイザー
ライフオーガナイザー®
シニア生活環境オーガナイザー
リユースオーガナイザー
こんまり®流片づけコンサルタント
ハンドメイド作家
古物商(東京都公安委員会 307741906938)
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夫、娘2人との4人暮らし。
「スープの冷めない距離」に義実家がある。
義実家片づけをきっかけに、家の状況だけでなく、それまで知らされて来なかった内情を知ることになる。
結婚する前から義母の癖の強さは思い知っていたものの、コロナ禍という転換点で義兄の問題が噴出し、義母は【中ボス】に過ぎなかったことを痛感。
シニアのための片づけの資格も取得し、義実家の片づけは諦めていないものの、病気や障害といった簡単に解決できない問題を抱えている家庭をどう見守るかという点で学びを深めていこうと思っている。
シニア生活環境
片づけサポート
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登場人物
【我が家】
私(30代)、夫(40代)、娘2人
【義実家】
義母(80代・モノへの執着が強い)、義兄(40代・精神疾患あり)、義父(故人)
片づけのきっかけ
義母宅の片づけのために初回訪問をしたのは2020年の12月5日。
きっかけは、新型コロナウイルスの流行でした。
毎年、我が家で新年会をしているのですが“密”を避けるために2021年の新年は各家庭で正月を過ごすことに。
コロナ禍でなければ外を出歩くのが大好きな義母が新年を安全・安心に自宅で過ごせるか、家の状態を見せてもらってビックリ!
結婚10年目にして、初めて家の奥まで入れてもらったのですが、これまで中に入れてもらえなかったのはこういう理由なのかな……とちょっと納得でした。
義母は、お世話になっている習い事の先生であろうと年下へは無意識にマウンティングする悪い癖があるのですが、“肩書”に弱いというわかりやすいところがある人。
「私、防災士の資格も持ってるんです! 今の状態だと地震があった時に危ないから、そういうところだけでもちょっと片づけしませんか?」
みたいな勢いで提案したら、思いの外すんなりと片づけのために出入りすることをOK頂けました。
片づけの過程
※当時書いたブログ記事では関わっている当事者として率直な心情を綴っています。予めご了承ください。
【初回訪問】
2020年12月5日(土)
■参加者:私、義母
初回訪問。見てもOKな場所を全てチェックして撮影。
片づけのプロとしては今すぐにでも着手したい状況ですが、長年この状態で「何も困っていない」という義母。
防災士の資格の話をしなければ片づけの提案が通ったか怪しい。
“どうすれば今の状況に危機感を持ってもらえるか”という段階から丁寧に取り掛かる必要があると感じました。
【初回訪問後】
撮影した写真を基に、今まで未知だった義実家の見取り図を作成して大型家具の位置や各部屋の問題点をまとめました。
そして、「こんな暮らしになったら素敵じゃないですか?」という“夢のある暮らし”をご提案する“片づけ後の見取り図(仮)”も作成。
第三者がお節介を焼かないと恐らく一生片づけが始まらない家なので、“片づけが上手くいくとこんな暮らしができますよ”というイメージを見える化することが大切だと感じています。
【2020年12月】
「何かに使う」と山積みにしたティッシュボックスの空き箱を畳んで資源ゴミに出し、通路も確保。
「だらしがない」の一言で済ませてしまうのは簡単ですが、早くに夫を病気で亡くして家業を一人で守ってきた義母の性格や経験を思うと、自身が“こう”と決めて根付いた習慣を変える難しさや、“下の存在”である息子が咎めたとしても聞く耳を持たなかっただろうなと。
息子の嫁、ではなく“防災士の資格も持つ片づけのプロ”として私も立場を意識しながら関わることで、ようやく「モノが減ると景色が変わる」という実感をしてもらえたことを感慨深く思います。
この他にも、大きなゴミ袋数袋がパンパンになるくらいのビニール袋をため込んでいたり、“もしもの時にモノが無い不安”が強い?と感じる収集量に内心不安を感じました。
そういった不安がある場合、収集するのはビニール袋だけでは済まないでしょうから……
②
■12月10日(木) 10時~12時
■作業者:私、義母
■内容:台所②
積み重なった空き箱を資源ゴミへ。壊れたまま放置していた家電類を預かって粗大ごみに。
食卓の上にミルフィーユのように積み重なっていた空き箱を資源ゴミに出し、だいぶ前から故障しているというトースターや洗濯籠を預かって粗大ごみの予約をしました。
「いつか使う」と思うからといって、それで生活の場をモノに埋め尽くされて住んでいる人間が暮らす空間を失うのでは“人間とモノ”の関係が逆転してしまっています。
かといって「これくらいあれば安心できますか?」とストックする数を提案して一度は手放しても、気が付いたらまた収集しているので、“タダでもらえるものは全部もらう”というような長年染みついた思考と習慣を変えるのは至難のことだと痛切に感じます。
粗大ごみの件も、処理券の購入の仕方や予約の取り方を一度覚えれば抵抗感が薄れるのでしょうが、相談できる家族がいない場合は「いつか捨てる」で済まされてきてしまったのかな?と。
③
■12月14日(火) 9時~11時半
■作業者:私、義母
■内容:台所③
“隙間”の片づけと、「いつか使う」とため込んでいるモノをチェック。
隙間を“空いている収納空間”と見なしているようで、家具と家具の間はどこもかしこもモノでぎっしり。
通路上のモノは「それは使う」と言われがちなので隙間から攻めました。
ちなみに、正面がモノで塞がってしまっている食器棚は長年開かずの扉になっていて、普段使いの食器は洗いカゴの中に出っぱなしです。
④
■12月24日(木) 9時~13時半
■作業者:私、義母
■内容:台所④
シンク前の通路の確保と、シンク下の開き戸内を整理。
台所前の通路に平然とモノを置いているので全然料理をしないのかと思っていたら、コンロで火を沸かしたり炊飯すると言うのでビックリ!(炊飯以外の調理はしない)
どうにか通路を確保して、シンク下の開き戸を開けてみたら案の定モノでぎっしりでした。
子供たちが独立する前まで使っていたモノなどは手放すことにして、定期購入している栄養ドリンクの箱を仮の収納箱に改造し、台所で使用するゴム手袋などを収納しました。
床を埋めている中身不明のビニール袋の中にはレトルトご飯や缶詰が入っていたりするので、一つ一つ開けて確認しないといけないのが思いの外時間を取られます。
袋に入れなければ一目でわかるのに、袋に入れて存在を忘れてしまうというのを繰り返しいる……。
シニア宅の片づけでは、そういった“長年そうしているから”という悩ましい習慣への気づきと改善の促しが上手くいくかどうかも課題ですね。
【2021年1月】
事務所の現状を確認。夫の私物を回収。
かつて、家業だった不動産業の事務所として使われていた部屋の下見をしました。
義父が他界した後はプライベートな空間として大量のモノに占拠されており、義兄に仕事を引き継ぐのであれば再び事務所として使えるようにしたい……ということで、義母のための片づけは一旦お休みして、現状を確認。
事務所の写真撮影後は、2階の部屋や廊下に残されたままになっている夫の私物を回収可能な範囲で回収して車で家に持ち帰って選別しました。
【2021年3月】
義母は現在進行形でモノの出入りがある通路周辺の作業をされることに抵抗があるため、長年モノが押し込まれたままになっている事務所の最奥から片づけることにしました。
(普段は開けないシャッターを開けることでモノの出し入れが可能に)
なんと、全く全容が見えなかった部屋の最奥のモノの下から一台の自転車を発見!
昔使っていたそうですがモノに埋もれて出せなくなったので、新しい自転車を買って乗っているのだそう……(なぜ部屋の中に自転車が?と思いますが)
「まだ使える!」と言う義母に試乗してもらうと古い自転車なのもありフラフラと危なっかしい。
実際に試してみることで義母も「これは危ない!」と納得してくれたので処分の手配をして速やかに手放しました。
“使わない” けれど “使っていない” から “手放せない”。
義母を説得するのはとても難しいですが、少しずつ手放せるものを外に出していくだけでも「塵も積もれば山となる」で小さな達成感が得られるよう、毎回工夫するようにしています。
【2021年4月】
事務所のモノの大半は長期間出入りもできない奥まった場所に押し込められたままだったので片づけ可能かと思いきや、今の今まで忘れ去っていたモノを見た瞬間に義母が「これは使う」「何かに使ってから捨てる」と手放すことを断固拒否。
モノを大切にする世代だから…というより手に入れたモノに対する執着が凄まじく、料理をしないのに未使用のまま数十年経過した調理器具を手放せなかったりと、客観的な判断ができないのは年齢の問題だけではないと思えました。
このままでは片づけが進まないので、せめてモノのジャンル別に仕分けして段ボールに詰め、家の裏の物置に仮置きさせてもらおう……と物置を見せてもらってビックリ。
生活している家の中でさえモノだらけなのだから、物置内がスッキリしているはずがなかった……。
物置の最奥に乾燥機があったり、古い靴箱の中に靴が入っていたり、「ここに置いたら使いにくい/使えない」という謎だらけ。
手放す予定で置きっぱなしになっているモノが複数あったので、事務所を片づけるために“急がば回れ”でまずは物置の片づけを先に行うことになりました。
⑧
■4月11日(日) 15時~17時半
■作業者:私、義母、夫
■内容:物置②
事務所に置く必要のないモノの保管場所を確保するため、物置の片づけが始まりました。
永い間手を付けていないというケースを下ろして中を確認してみると、義母が嫁いできた頃の新聞に包まれたたくさんの食器が。
昔は親戚一同が集まることもあったので、その当時必要だった食器なのかもしれません。
今は義母の一人暮らしなので、気になるデザインのものを1~2枚だけ残して手放すことにしました。
また、30数年前に他界している義父が海外旅行などへ行く際に使っていたというトランクも出てきました。
義実家の中には義父の形見が点在しているそうなので、ゆくゆくはトランクの中に遺品を集めて保管したらどうか?と提案してみました。
⑨
■4月18日(日) 15時~17時半
■作業者:私、義母、夫
■内容:物置③
義母と一緒に片づけていると、言葉にしなくても義母の価値観が手に取るようにわかるような気がします。
廃業するお店から使いきれない量のビニール袋を貰って、それが数十年経っても箱に入ったまま残っている。
「今のビニールはすぐボロボロになっちゃうけど、昔のは破れないのよね」と、環境のためにそういう素材になっていることを説明しても“昔”を礼賛し、自分に都合の悪い存在は認めない。
説明を“説教”と受け止められるので不機嫌になって聞き流されます。
自分軸がはっきりしていることと、視野が狭く客観的にモノを考えられないのは別物です。
「年だから何を言っても変わらないよ」と説得を諦めるのは簡単ですが、それは“たった一度の人生”をどう生きるかという点においても義母を突き放してしまうようで、義母の中に無い視点について説明する機会があれば、もう少し付き合ってみようと思います。
⑩
■4月25日(日) 15時~18時
■作業者:私、義母、夫
■内容:物置④
物置の手前の荷物を退かし終え、棚の中に詰まったモノをチェックできるようになりました。
物置は義実家の隣家(義実家所有)とも繋がっているのですが、隣家を貸していた時の住人が置いて行ったモノまでそのまま放置されていました。
何があるか把握できていないと、そんなことも起こるのか…と驚きました。
義母は安売りされているモノに飛びついてしまいがちなので、ひとつで十分なのにいくつも未使用の洗面器を持っていたり、“使うために手に入れる”という行動をしていないことがよくわかります。
「今使っている洗面器の方がいい」と義母自身も認めているので未使用のモノは手放すことにしましたが、ゴミ袋に入れたはずのそれらは次の片づけの時に物置に戻されていました……。
義母のようなタイプの人は、そもそも安易にモノを手に入れてはいけないのでしょうが、一緒に住んでいないのでコントロールできないのがもどかしいです。
【2021年5月】
⑬
■5月16日(日) 15時~17時半
■作業者:私、義母、夫
■内容:事務所③
⑭
■5月23日(日) 14時~17時半
■作業者:私、義母、夫
■内容:2階6畳和室①
⑮
■5月30日(日) 14時~18時
■作業者:私、義母、夫
■内容:2階6畳和室②
【2021年6月】
義実家は義父の生前は不動産業を営んでおり、今でも複数の家を私物化して管理しています。(現在は駐車場経営のみ)
その家にもモノを大量に置いていると聞き、危機感を感じ見せてもらうことに。
案の定、他の家にも義母のモノが大量に。
いつか不動産を手放すにせよ、ゴミではなく着物のような価値あるモノが大量に残されていると“業者に任せてパパッと手放す”ということができません。
義母は集めた着物を自慢に思っていますが、それを管理することと手放すことの労力は完全に失念。
「片づけるのは自分が死んでからにしてくれ」と言われるたびに「自分で後始末をしないということは、代わりに作業する人の“命の時間”を奪うことになるという自覚ないでしょ?!」と釘を刺していますが全然理解してくれません…。
(老いた親の面倒を子供が見るのが当たり前という時代の価値観にせよ、あまりに無責任すぎる)
義母は何でもお金で解決しようとするので、把握しきれない数の保険に入ってしまい支払いで困るという問題も起き始めています。
現在入っている保険の見直しを義母と夫と一緒に行い、自身に必要なものは残し、子供や孫のために入っている保険で解約しても良さそうなものは解約手続きすることにしました。
⑰
■6月13日(日) 14時~17時
■作業者:私、義母、夫
■内容:継続するか確認・事務所再チェック
作業をして床が見えてくると義母は「床が見えた」「数年ぶりに掃除機をかけた」と喜びますが、【片づけ】と【掃除】の区別が付いておらず頭が痛くなります。
“自分にとって必要なモノ”という【自分の価値観】を認識する大切さを分かってもらえず、今後も闇雲に買い物や頂き物をし続けていると永遠にゴミ屋敷状態から抜け出せません。
ここまで17回も作業を続けて感じるのは、義母は“片づけたい”と思っていないということ。
今更気づいたわけでなく、迷惑とさえ思われていそうだとわかってはいましたが、家の中の状態を放置することで起こり得る問題は自分自身だけでなく、子供や孫世代に押し付ける“負債”になるということへの自覚と責任の無さは流石に腹に据えかねるところがあるので、
「私たちも暇ではないので、やる気がないなら止めますが?」
と直球で確認することに。
義母も全く危機感を感じていないわけではないようですが、これまで誰にも文句を言われず、今の家でも健康に生きてこられたこともあって重い腰が上がらない。
私と夫は、義母を本当に心配しているし、子孫に負債を残すことへの罪悪感を全く感じていないのは嫌だという率直な気持ちを義母に伝えて、もうしばらく付き合うことにしました。
⑱
■6月20日(日) 14時~17時
■作業者:私、義母、夫
■内容:事務所④
⑲
■6月27日(日) 14時~18時半
■作業者:私、義母、夫
■内容:事務所⑤
【2021年7月】
【2021年9月】
㉑
■9月26日(日) 15時~
■作業者:私、義母、夫
■内容:義兄私室(説明)・2階廊下②
★番外編★
■10月10日(日)
■作業者:私、義母、夫、子供たち
■内容:近所の住宅展示場を視察
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